ウルシ科の植物には、ハゼノキ、ヤマウルシ、ツタウルシ、ヌルデなどがありますが、漆液が採取できるのはウルシノキという落葉高木樹です。
二戸市周辺では毎年6月の終わりから7月の初めにかけてウルシの花が咲きます。一週間ほど小さな花を咲かせますが、その実はかつては貴重な和蝋燭の原料とされていました。今でも同じウルシ科のハゼの実を使い和蝋燭を作っている産地があります。
その木材は軽く、水に強い性質を持つ ことから、漁網の浮子(アバキ)として使用され、プラスチック製の浮玉に替わるまでは漆液に次ぐ重要な産物でした。現在は漆掻き職人の自宅の薪となっていることが多いです。漆を掻いた後の新たな活用策を模索しています。
漆液はウルシの葉や枝、根など全体に含まれていますが、職人は主に幹の部分から漆を採取します。
樹皮と材部の間に漆液溝という漆液の通る道があり、それを遮断するように傷をつけて採取していきます。一般的に年間400本のウルシの木から20貫目 (約75キログラム・漆は貫匁表示)を採取すれば一人前と言われます。
1本当たり約200グラム(牛乳瓶1本分)程度しか採れず、いかに貴重なものかが分かります。
漆の採取は単純なものではありません。木の特性を活かしながら、いかに効率よく採取すればよいか計画的、瞬間的に判断しているのです。
雨天時は漆の品質に影響を与えることから採取をやめます。また傷を深くすると木自体にダメージを与えるので
木の勢いを損なわないようにして、細心の注意を払いながら採取しているのです。